建築マップの掲示板に、この小学校が改装なのか取り壊しなのか分からないですが、とりあえず今年の夏休みから工事が始まるとの連絡を頂いたので、早速見に行くことにしました。(この小学校に通う生徒の保護者のかたから連絡いただきました。貴重な情報、ありがとうございました。)

小学校の門構え越しに校舎を見る

ついこの間、京都の某小学校で殺人事件があったばかりでしょ?日曜日といえど、どうも大人一人が大きなリュック抱えて小学校に入るのは、この上なく不審人物なんです。入ろうかどうしようか考えながら門の前をウロウロしたものだから余計に挙動不審。

運動場から校舎を見る

やっと意を決めて、カメラをぶら下げて「私はカメラマンですよ〜」という気持ちをめいいっぱいアピールしながら野球少年たちの前を横切って入ったわけです。めちゃくちゃ勇気いりましたよ。あの門というのは、入ろうと思えば簡単に入れるのに入りづらい威力を発揮します。ものすごい効果ですね。入ったらやっと安心して、建物撮影をすることができました。

木々の間から見る校舎体育館部分

さて、この小学校。めちゃくちゃカワイイです。目に優しいというのでしょうか?野暮ったい装飾もなくそれでもなんとなく素材の繰り返しでアクセントをつけてあったり。建った背景としては近代建築の終わりかけの時代でしょうね。職員室に行って撮影許可をもらおうと思ったのですが、日曜日なので、建物の中にすら入れません。玄関の時計塔をよく見てたら、周り階段になってるんです。
毎度思うのですが、現代の建物は階段室がどうも「法規上、仕方なくつけた。」という印象しか残らない。確かにエスカレータやエレベータがありますからね。しかし、そんな設備もない時代は、階段のデザイン考察が一大イベントとなるわけです。

木々の間から見る正面玄関

必然的にこの小学校も、この時計塔が設計のメイン・イベントとなるわけでして、外装デザインやアプローチがそれに関連して上手く見せ場を作っていると思います。現に僕が写真を撮って家に帰って並べてみると、ここばっかりしか撮っていなかったのです。それだけ絵になりやすいのでしょう。

正面玄関の外観

とても基本に忠実な外装でしたね。横に長い部分は横を強調するディテール、縦に長い部分は縦を強調する建具やディテール。とても自然で気持ちの良い小学校でした。
さて、不審人物扱いされないうちに帰ろうか。ところで、夏休みから始まる工事は、「改装」なのか「取り壊し」なのかどっちなんでしょうね?

建築マップ掲示板の投稿より 2000年6月2日

今月から運動場で、プレハブ校舎の工事が始まりました。先週の運動会の日も、中を歩いて写真を撮影しているかたが沢山いらっしゃいました。親子でこの小学校に在籍、という人も多いようです。校舎見学会が、中を自由に見学できる最後の機会になると思います。父兄には7月1日(土)13時から15時と案内されています。
「S40年代の増築された部分を残して取り壊し、最先端の新校舎を新築する。」という話を聞きましたが、何が最先端なのか、町協議会の希望なのか、そこは怪しいです。ただ、取り壊しは、確実です。新校舎完成は、1年半後の予定です。

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建物情報

建物画像
神戸市立魚崎小学校 正面玄関 外観
建物名
神戸市立魚崎小学校
読み方こうべいちりつ うおざきしょうがっこう
設計
清水栄二
読み方しみず えいじ
所在地
兵庫県神戸市東灘区魚崎北町4-10
用途
小学校
竣工
1930年(昭和4年)
構造
RC造3階建

作成者 Mitsuo.K
個人サイト Mの憂鬱
作成日 2000年05月20日
更新日 2008年07月12日
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