六甲アイランドの「アイランドセンター駅」に近づく前に車内の左手を見下ろせば、このリバーモールイーストが見えてきます。
見た瞬間、「あー・・やっちゃったねぇー」って感じ。自己主張しすぎ。ちょっとTIME'Sの人気が出たからといって、使いまわしはイカンよ。リバーモールイーストの全景を撮影しようとすると、六甲ライナーの高架がじゃまなので分割して紹介して行きましょう。

建物の前に、六甲ライナーの大きな影が出来る建物ファサード

上の写真、建物手前が影になっている部分が六甲ライナーの高架です。この建物がどこか丘の上の広大な土地のなかにポツネンとあるならば、なにも言わない。この一等地にあえて低層の店舗を置いたことが、後ろに見えているマンションやP&G日本本社テクニカルセンターの高層建物との相性があまりにも悪すぎる。今にも飲み込まれそうな雰囲気なんです。

P&G日本本社テクニカルセンターのファサード
こっちの建物の方が面白そうじゃないか、
P&G日本本社テクニカルセンター

スロープを見るスロープの踊り場からL字型の入り隅を見る

背景の印象が強すぎて写真が見難いのですが、ここは大きな螺旋を描くスロープです。これでバリアフリーな建物といいたいところですが、建物本体よりもスロープに要した面積の方がデカいってどういうことよ。なんか学生の草案を本当にやっちゃった感じ。

スロープの途中から建物を見るスロープを上がりきった屋上から建物の中央を見る

スロープの途中から上りきったところの写真。これでなにか建築的な仕掛けとか空間の変化があればいいのですが、何も変わりません。奥に見えているマンションが気になって仕方がない。

なんとなくタイムズに似てるようなやっぱタイムズに似すぎ

軸線ずらしによって生じた隙間が自転車置き場になる

建物本体を見てゆきましょう。L字型に配置されたプラン。TIME'Sと同じく迷路のような廊下と階段。このL字は90度になっているのかと思ったら微妙に軸線がずらしてある。
出たぁー。
これが建築家と呼ばれる人たちお得意の軸線ずらし。どうせこのずらしかたもレポート5枚は書けるほどの言い訳を作ってあるのでしょうが、現実をよーく見てください。軸線ずらしのために生じる隙間は、ただの自転車置き場(1台分)よ。こういうところで設計者と使用者の溝がまだまだ埋まらないのです。悲しいですね。

階段の袖壁がメッシュになっている外部階段になったり内部階段になったり

建物内部。階段の奥に見えているのは、先ほど紹介したP&G日本本社テクニカルセンター。店舗を1件づつ探検してみると、あーここもそうなのね、TIME'Sと同じく店舗が閉鎖しているところもある。こんな一等地で店舗が全部埋まらないなんて、やっぱ問題あるんじゃない?
そして、階段の手すりのメッシュ部分。もうかわいそうになってきたから載せないけど、サビサビ状態。ここって何年に竣工したんだ?2000年で7年目でしょ。7年でこんなに錆があがってくるのか。ははーん、ここが六甲アイランドだということをすっかり忘れてました。原因は海風でしょう。

今の建築家と呼ばれる人たちはねぇ、美術館とかホール系を作らせたら上手なのに、住宅とか店舗とかそういう類のものは本当にヘタクソです。あんまりそういう仕事は引き受けないほうがいいと思うよ。今回のリバーモールイーストもちょっとひどいです。学生がやりたがる図面上では見栄えの良いスロープ。スケール1/2500ぐらいの地図を用意しないと絶対説明ができない軸線ずらし。売りたい側の店舗計画との乖離。そして海風を無視した材料の選択。
名前だけで売れるほど、建築はミーハーなものではない。雰囲気1つで売上は変わるんですよ。

面白いことに安藤忠雄の作品集や書籍ってたくさん出ていますが、このリバーモールを紹介する書籍は一冊も見つかりません。リバーモール側にメールで尋ねてやっとわかったくらいです。ただ、先方からこのサイトのリンクを貼らせて欲しいと言われたんですが、こんな記事書いちゃったでしょ。だから返事ができません。ごめんなさいねぇ。

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建物情報

建物画像
リバーモールイースト
建物名
リバーモールイースト
設計
安藤忠雄/安藤忠雄建築研究所
所在地
兵庫県神戸市東灘区向洋町中5丁目15番地
用途
店舗
竣工
1993年(平成5年)

作成者 Mitsuo.K
個人サイト Mの憂鬱
作成日 2000年05月20日
更新日 2008年07月12日
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