谷の建築

京都タワーから京都駅を見る

駅ビル各施設の面積
各面積
敷地面積 約38000m2
延床面積 約237700m2
駅施設 約12000m2
ホテル 約70000m2
複合商業施設 約88000m2
文化施設 約11000m2
駐車場 約37000m2
行政関係施設他 約38000m2

賛否両論を巻き起こした新京都駅。
上の各施設の面積に注目してださい。駅施設面積が思いのほか少ない。それなのに、全てが京都駅と思わせるデザインは原広司の計算通りかも。谷の建築です。
谷の建築
とは、何なのでしょうか。

玄関口から百貨店側を見る

京都駅の正面玄関は塩小路口。新幹線側が八条口。京都駅の全体画像はページの先頭に用意した画像。鉄とガラスの建物が、東西に大きく横たわっている。画像は正面玄関側。ガラス張りは北向きだから出来た技。もし南向きに建っていたら、温室の出来あがり。設計する時に、嬉しがって南面にガラス張り、なんて安直に考えたら裁判ものかも。
この京都駅は4代目。なぜこんな写真を撮ったのかというと、先代の京都駅には京都駅を掲げた看板がどこにも無かったのです。京都のプラットホームの長さは日本一というのは、よく聞きますが。
先代の京都駅もまだ記憶に新しいから、記念に撮っておきました。

京都駅を知らせる看板1階から地階に行くエスカレータを見る

入って正面がJRの改札口。とにかく見えるところはエスカレーターだらけ。手前に見えるエスカレーターが地下1階に行くもので、奥に見えるのが、ホテル側に行くエスカレーター。とりあえず大階段のあるJR伊勢丹側のエスカレーターに乗ってみよう。行き先がよくわかるから、不安がない。
JR伊勢丹側のエスカレーターに乗ってコンコースを見下ろす。エスカレーターは直線に配置してあります。ここでは2回乗り換えて上階に行くのだが、人があまりにも多いと、次に乗るエスカレーターがあまりにも込みすぎて、降りる場所まで人で溢れる。そうしたら、エスカレーターを降りられないギリギリの状態となり、1歩間違えたら将棋倒しを起こします。

百貨店側のエスカレータからコンコースを見下ろす南北が筒抜け状態になっている場所

上がりきって一段落した場所。新幹線ホームを見下ろす高さまで来ました。東西に横たわるこの大きな京都駅も2ヶ所だけこうして南北に抜いてあります。
京都駅は、指名コンペで決まりました。ほとんどの建築家は、平安京の入口羅城門をイメージした空間を採り入れてました。しかし羅城門の史跡は、京都駅より、まだ南の九条通りにあるのです。羅城門は平安京の入口。ということは、この京都駅より南は京都じゃないのか?

大階段。
大階段はJR京都伊勢丹の上部で、階段の下に伊勢丹があります。大階段はみんなの椅子変わり。それも計算済みか。喫茶店などの店舗だけでは、到底この人数をさばききれない。鴨川にいるカップルが等間隔に座る法則みたいに、この大階段もなにか法則が出てきそうなy予感。まずは上階から詰まって行くようです。

第階段から見下ろす大階段の最上から東方向を見る

大階段の一番上から見おろす。おっ!あそこに渡り廊下があるぞ。あそこは何階だろうか。はじめての建物ってわかりにくい気がするが、行き先も決まってないから、行動も適当。
JR伊勢丹のエスカレータも直線上に配置してあります。これもさっきと同じように乗り口が混みすぎると降り口で詰まってしまう現象が起こるのですが、さすが百貨店は対応が違う。きちんと赤い誘導ロープで斜めに振ってあります。エスカレータの直線配置は、見た目はわかりやすいけど、意外な難点もあるものですね。大階段の関係で、上階になるほど店舗面積が小さくなるのかと思えばそうでもない。その辺は駐車場で帳尻を合わせているようです。メンズのショップは少ないから、男性陣には面白くないかも。店舗の俗っぽさでいうなら、京都駅南にある「アバンティ」のほうが、行きやすい。

百貨店のエスカレータ乗り継ぎ部分空中経路から大階段を見下ろす

渡り廊下を通ってみる。
空中径路と書いてあった。ここからホテル側に行ける。原広司さんの設計は、この「空中某」ネタが多い。梅田スカイビルも空中庭園と呼んでいたような。空中庭園て聞くと「ラピュタ」の空中に浮かんでいるお城みたいな物を想像してしまうが、そんな楽しそうな雰囲気でもない。空中径路の途中に展望スペースがあり、正面に京都タワーと京都市内が一望できます。その写真は建築マップ京都タワーで載せました。
ホテル側。
画像に見えてる長いエスカレータを降りてきたところ。ホテル側はさっきの人ごみがあるわけでもなく、カップルの溜まり場。

ホテル側から空中経路を見る点字ブロックの凹凸の激しいバージョン

おっ!なんじゃこりゃ?この床のポチポチは何でしょう。何でこうなってるのか?と眺めていたら、向こうにもある。ははーん、この場所に居て欲しくないというべきか、危険信号のサインというべきか、とにかくその場所にいたら危険のような雰囲気がする。この先に景色が見られる場所とか、ダクト吹出し口前、ホテルの窓側に、このポチポチが埋まっています。ハイヒールのおね―さんが知らずに、このポチポチの上に乗ったら間違い無くグネってしまうでしょうね。これじゃホームレスも痛くて寝ていられない。

さて、ホテル側から正面玄関のコンコースに戻りましょう。
お待たせしました。皆さんが期待している画像です。はじめはこの画像の奥のほうに向かって行きました。奥に大階段見えてますね。そして空中径路を渡って、ぐるっと一周して来ました。手前に見える黄色い丸いステージみたいなものはライトアップ用。なんだかアイドルでも出てきそうなステージ。

ホテル側から大階段を見るホテル側のエスカレータからコンコースを見下ろす

案内図

再びコンコースに戻って来ました。
コンコースが狭いのにこれだけ広く見せてしまう。コンコースを中心にVの字型に展開しているのです。これが谷の建築。わかってくれたかな。


Matrix(読み方マトリックス:人工地盤)

新京都駅ビルで、もう1つ注目するのは人工地盤。ビル全体の10〜15mの高さにあって、まるでお盆にのっているかのようにその上にデパートやらホテル、劇場、駅の一部が建っています。

ホテル側にあるオブジェ地上からみたホテル側のオブジェ

左の画像のモニュメントを見てください。右の画像に注目。このモニュメントを地上から撮影すると、あんなに高いところにあるのです。写真だけでは、左の画像は地面に立っているような雰囲気ですが、実はかなり上階だったのです。前述した南北に筒抜けた部分の階も、すでに人工地盤の上なのです。

JR構内から駅ビルを見る人工地盤がはっきりわかる

南北連絡通路から駅ビルを見るとマトリックスがよく分かります。乗り出してる灰色の部分がそれです。マトリックスと呼ばれるこの人工地盤は、高さ4.8m、長さ470m、最大幅が80m。これほど大きい人工地盤を採用した建築物は国内最大級でしょう。

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建物情報

建物画像
JR京都駅ビル
建物名
JR京都駅ビル
読み方ジェイアール きょうとえきビル
設計
原広司/アトリエ・ファイ建築研究所
読み方はら ひろし
所在地
京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町
新幹線ホームの反対側
用途
駅施設、ホテル、商業施設、劇場、駐車場
竣工
1997年(平成9年)
延床面積
237,700m2

作成者 Mitsuo.K
個人サイト Mの憂鬱
作成日 1999年09月01日
更新日 2008年07月06日
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