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Matsumoto Syuzou, Ltd
松本酒造(株)

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松本酒造(株)

所在地:京都府京都市伏見区横大路三栖大黒町7
用途:商業施設
竣工:1922年(大正11年)

最寄の地図
油小路大手筋東入ル新大手橋東詰


Camera:
Nikon F60 28mm〜80mm
Film:
FUJIFILM PROVIA100 Professional

作成日:
2000年05月 26日

最終更新日:
ページは追記・修正があったときに随時更新しています。
2008年07月12日

作成者:
Mitsuo.K


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- たくさんの酒蔵をもつ伏見から、松本酒造の蔵元を紹介します。歩ける距離に月桂冠大蔵記念館もあります。お酒を知らなくとも月桂冠、黄桜や松竹梅という名前は聞いたことがあると思います。すべてここ伏見が蔵元なんです。

伏見(読み方ふしみ)という地名の由来は「伏水」から来ています。雨水が山に浸透し、ふもとで湧き出ることを伏水といいます。この地の山は花崗岩層があり、中硬水のミネラルウォーターが出来上がるわけです。
そしてもうひとつ有名なのが伏見稲荷大社。稲荷とは「稲成」(読み方いねなり)の「ね」が抜けたのではないか?という説があります。つまり良い米ができますようにと願う場所。五穀豊穣を願う農耕神と伏水、そして京都の底冷えする気候。点と点が繋がりそうです。

松本酒造の前には川が流れています。春になると、その土手にご覧のような一面菜の花で埋まります。これらの画像はその場所から撮影したものです。白黒の建物と黄色い花との組み合わせがとてもきれいです。

小さないくつもの窓は冷たい風を蔵の中に取り込むために設けられたもの。3棟は酒母をつくる「仕込み蔵」と「釜場」「貯蔵庫」が並んでいます。京の底冷えと呼ばれる厳しい寒さが伏見の酒の最盛期。
日本の酒づくりは春、夏、秋、冬と一年を通じて行われていたのですが、江戸時代になると米の使用が規制されて、酒づくりは冬だけ行われるようになります。これが「寒づくり」の始まり。
酒づくりに携わる技能者たちは、豪雪地帯の農村・山村・漁村から集まり、その出身地によって技法が微妙に異なり、それぞれの流派を生みだす。酒造りの最高責任者である杜氏(読み方とうじ)は、蔵内の管理はもちろん、原料の扱いから、酒しぼり、貯蔵、熟成まで、全ての工程を管理するのです。
寒づくりが一段落した4月、杜氏たちがふるさとへ帰省しはじめる頃に咲くのが、これらの菜の花。菜の花が杜氏たちに労いの言葉をかけているのかな?ちょっと深読み。そういうロマンチックな話があってもいいよね。

そして、この川と言っていたのは、実は「新高瀬川」。高瀬川とは物流運搬のための人工河川。タイムズビルの横に流れていたのも高瀬川です。米の運搬、酒の運搬に使われていたのは言うまでもありません。

伏水、農耕神、気候、物流、杜氏、そして菜の花。これらが1つ欠けても伏見ではない。
歴史って本当に面白いですね。

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