イマーム広場

サファヴィー朝の第5代君主アッバース1世の治世は繁栄を極め、各地で数多くの建設事業が行われています。その最大の事業がイスファハンの建設です。アッバース1世は1597年にイスファハンを新首都に定めます。旧市街に隣接して新市街が建設されました。その新旧の街を繋ぐ場所に、この「王の広場(革命後、イマーム広場に改名)」は建設されています。なお、写真撮影はいずれも1999年5月です。

建物名: イマーム広場
Meydan-e Emam
設計: 不明
所在地: イスファハン
用途: 広場等
竣工: 17世紀
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イマーム広場北側
Meydan-e Emam
180メートルx550メートルの南北に長い広大な広場。北に大バザールへの入口、東にシェイフ・ロトゥフォッラーモスク。かつては外国使節との会見、軍隊の観閲式あるいはポロ競技などが行われていたといいます。
イマーム広場南側
南にイマームモスク、西(現在地)にアーリー・ガープー宮殿。現在では公園として使われており、中央に池と噴水を配し、周囲を観光用の馬車が走っています。

イマームモスク
Masjed-e Emam
イランでもっとも有名な建築物のひとつ。1638年竣工。広場の軸線がキブラ(メッカの方向)と異なっていたため、モスクの軸線は45度程度ずれています。
入口イーワーン
アーチの高さ27.4メートル、ミナレット高さ40メートルの巨大な門。ここをくぐるとイマームモスクです。
イーワーン詳細
天井の鍾乳石飾り(スタラクタイト)は、ムハンマドが啓示を得たヒラー山の洞窟を再現しているとも言われています。タイルはモザイクタイルと絵付けタイル(ハフトランギー)を使い分けています。
中庭北側イーワーン
中庭に入って振り向いたところ。中庭は東西南北4つのイーワーンで囲まれています。これが典型的なイラン型モスクのスタイルです。
中庭北側イーワーンと西側イーワーン
にぎやかなイマーム広場から一転して、静謐な世界が広がっています。イマームモスクでは礼拝の呼びかけ(アザーン)は、ミナレットからではなく、西(左側)のイーワーン上の櫓から行われます。
中庭南側イーワーン
ここを入るといよいよ主礼拝室です。
大ドーム
主礼拝室を覆う大ドーム。直径28メートル、高さ50メートル。ドームの色は青ではあるが、イーワーンと比べるとやや緑がかった青色となっています。
主礼拝室
奥の壁にメッカの方向を示すミフラーブと説教壇(ミンバル)があります。四角い平面と丸いドームを繋ぐスクインチが見えます。
主礼拝室天井見上げ
ダブルドーム形式となっていて、天井レベルにもうひとつドームが作られています。したがってドームの高さは50メートル、天井高は38メートルとなっています。
回廊
中庭周囲には回廊が廻っています。礼拝室左右にはメドレセ(神学校)があります。
ミナレット
ここにも鍾乳石飾り。ミナレット先端には金属製の手の形をした飾りが付いています。六信五行の五行の教えを表しているといいます。
イーワーン裏側
巨大なスラスト(水平力)に対抗するためか、イーワーンを2本の太いワイヤで引張っています。
ドーム雌型
イマームモスクは長い時間をかけて修復作業が行われています。ドーム雌型にモザイクタイルを裏返しに置き、漆喰で固めます。脱型後、スイカの皮状のパネルを吊り上げて、ドームに取り付けます。この様子は先日NHKテレビで放映されました。


シェイフ・ロトゥフォッラーモスク
Masjed-e Sheykh Lotf-ol-lah
イマーム広場東側にある王家専用のモスクで、1602年から17年かけて建設されています。イマームモスクと異なり、ドームの色は珍しい黄色系です。
礼拝室内部
繊細なタイルで飾られています。正面はミフラーブ。
ドーム見上げ
明かり取りの小窓から光が差し込むと、ドーム天井に孔雀が現れ、羽を広げます。
ミフラーブ
腰まではハフトランギー、その上は細かなモザイクタイルで飾られています。

アーリー・ガープ宮殿
Kakh-e Ali Ghapu
イマーム広場西側にある5階建ての宮殿です。ここからイマーム広場全体を眺めることができます。かつてシャーはここからポロを観戦したそうです。一番上の広場全景写真はここから撮影しました。
アーリー・カープ宮殿近景
全面側は2階建ての上がバルコニーになっており、木造の小屋が乗っています。後ろ側は5階建てになっています。
音楽の間
宮殿最上階に音楽室があります。
音楽の間詳細
壁には無数の楽器の形をした穴が開けられており、これが余分な反響音を吸収し、音楽を美しく響かせるのだそうです。
音楽の間天井
不思議な模様の天井です。スタラクタイトの一種でしょうか。
細密画
おそらくレザー・アッバーシー作の細密画。ここはモスクではないので、人物像を描いても偶像崇拝にはあたらないのでしょう。

イマーム広場回廊
広大な広場周囲には回廊が廻っていて、中には商店が入っており、土産物などを売っています。正面から見ると2階建てですが...
回廊内部
中に入ると平屋です。屋根の明かり取りが見えます。その秘密は...
上から見ると
実は2階部分は壁だけなのでした。


ケイサリエバザール
Bazar-e Esfahan
イマーム広場北側は、バザールへの入り口です。ケイサリエ門と呼ばれています。アーチ上部のタイルは射手座の動物が表現されています。このバザールは金曜モスクまで延々と2キロメートル近く続きます。
バザール内部
中の通路は入り組んでいて、迷子になりそうです。
バザール内の店舗
スパイス、絨毯、金属器、いろいろなものを売っています。歩いていると、「オシーン!」とか「オオサカ!」とか、声をかけられます。おしんがイランでも人気があるのはわかりますが、なんで大阪なのかな?
バザール内中庭
バザールの中にはキャラバンサライやメドレセ、ハマム(浴場)などがあります。
バザール内広場
こんな立派なドームもあります。がらんとしていて特に何かに使っている様子はありませんでした。


イマーム広場のイラン女性
イランでは女性はこのスタイルです。よく見ると派手なハイヒールを履いていたりします。この格好で女学生がバスケットボールをやっているのを見ました。
イマーム?
普通の男性はワイシャツにズボン姿です。この人たちは導師かなにかでしょう。

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最終更新日:2002年08月11日

作成者:じいきえん

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