スターリンゴシック建築


クレムリンと並んで、あるいはそれ以上にモスクワらしさを感じさせる建物群です。
かつては社会主義と科学技術の明るい未来が天にまで達しようとしていたのでしょう。
1949年から建設が始まり、ソヴィエトの戦災復興を象徴するものであったようです。

スターリンゴシック建築は8棟が計画されましたが、実際に建設されたのは7棟のようです。そのためセブンシスターズなどと呼ばれています。 INAX出版の「ロシアアヴァンギャルド建築」では8つがあげられています。

1) クラスナヤ・ヴォロータ近くのオフィスアパート(前ソ連邦運輸建設国家委員会)
2) 蜂起広場のアパート(文化人アパート)
3) コテルニチェフスクヤ堤のアパート・オフィス(芸術家アパート)
4)コムソモルスカヤ広場のアパート(レニングラードホテル)
5)スモーレンスク広場の外務省(外務省・外国貿易省)
6)クリミヤ広場のホテル・ウクライナ(ウクライナホテル)
7)ナ・ザリャージェのオフィス(なし)
8)レーニン丘のモスクワ大学(モスクワ大学)
( )内は「地球の歩き方」97〜98版での呼び方です。TOTO出版の「ロシア建築案内」でも地球の歩き方と同じ7棟が紹介されています。とすると7)はなんでしょう。幻の8棟目でしょうか。

実はポーランドのワルシャワに1棟存在しています。ワルシャワ中央駅の向かい側に立つ文化科学宮殿です。37階建てで高さ234m、オフィスビルとして使われています。これはスターリンからの贈り物といわれており、ワルシャワ市民からはかなり嫌われているようです。

ここでは、5つの建物を紹介します。なお、写真撮影はいずれも2000年8月です。





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芸術家アパート
これはモスクワ川沿いにあってなかなか絵になる建物です。
建物名: 芸術家アパート
Apartment on Kotelnicheskaya Embankment
設計: D.チェチューリン D.Tchetchulin
所在地: モスクワ
用途: 集合住宅
規模: 17階建て、高さ176m
竣工: 1952
社会主義の栄光
高さは低い方ですが、平面的には大きな広がりを持っています。17階建、高さ176メートルですから、塔の部分を除いたとしても、階高は8メートルくらいありそうです。
近づいて見上げると
両ウイングはかなり迫り出しています。1階には映画館があり、食料品店もあるらしいのですが、ひとけがなく静まりかえっていました。
輝く星
この塔はかなり凝ったつくりです。ブロンズ像やレリーフで飾られています。「芸術家」といわれる所以でしょうか。
入口ゲート上部
1952という数字が見えます。竣功年ですね。建物全体のイメージに比べると、意外とやわらかなレリーフです。

モスクワ大学本館

ロシアの東京大学だそうです。スターリンゴシック建築の中でも最大規模です。モスクワを眺望できるひばりが丘にあります。中央の塔は管理部門、両サイドのウイングは学生寮。塔の部分が白っぽく見えるのは仮設足場です。改修工事をしていました。
建物名: モスクワ大学
Moscow state university
設計: L.ルドネフ
L.Rudnev
所在地: モスクワ
用途: 大学校舎
規模: 26階建て、高さ239m
竣工: 1953
正面玄関
「最高学府だぞー」といった正面です。中に入ることもできるらしいのですが、夏休みなのでしょうか、人がまったくおらず、入る勇気が湧きませんでした。
学びの男女の像
正面玄関前の基段の両脇で向かい合わせに置かれています。革命前のニヒリズムに陥った連中とは違うたくましいインテリゲンチャ像です。これは女性像です。

ウクライナホテル
モスクワ川沿いにあるホテル。川の対岸には、91年夏のクーデターの舞台となったロシア連邦議会やモスクワ市役所(旧コメコン)があります。地球の歩き方によると、シングルUS80$、ツインでUS110$となっています。ロビーまでは入れますが、内部は外観ほど個性的ではなく、普通のレトロなホテルといった感じです。
建物名: ウクライナホテル
Hotel Ukraina
設計: A.モルドヴィノフ A.Mordvinov
所在地: モスクワ
用途: ホテル
規模: 26階建て、高さ170m
竣工: 1955
旧ジル通り
このあたりには以前、党幹部が大勢住んでいて、高級リムジンのジルが猛スピードで駆け抜けていたそうです。


文化人アパート
縦線をとりわけ強調した高層塔を持っています。
建物名: 文化人アパート
Apartment at Kudrinskaya square
設計: M.ポソヒン
M.Posokhin
所在地: モスクワ
用途: 集合住宅
規模: 16階建て、高さ159m
竣工: 1945
その反対側側から見ると、
低層部が尖塔の裏側に回り込んでいることがわかります。
尖塔
芸術家アパートより、シンプルです。
いろいろなアンテナが載っています。

外務省
この建物にはなぜか頂部に星が乗っていません。昔の写真でも星は写っていませんので、もとからなかったのでしょう。

さてそろそろ見分けがつかなくなってきたのではないでしょうか。スターリンゴシック建築はどれもよく似ています。設計者は異なっているし、プロポーションや細部も違っているのですが、見た目の印象はどれも同じ様な感じを受けます。
わたしもここで力尽きて、残りの2棟は見てません。またモスクワに行ったときのお楽しみに残しておきました。
建物名: 外務省
Ministry of Foreign Affairs
設計: V・ゲルフレイフ
V.Gelfreih
所在地: モスクワ
用途: 庁舎
規模: 20階建て、高さ170m
竣工: 1953

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最終更新日:2002年12月10日

作成者:じいきえん

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