廈門大学、廈門の中華宮殿式建築2
Xiamen University -The chinese palace styled architectures in Xiamen Part2 -

廈門(アモイ)大学は1920年代に陳嘉庚の寄付により設立された大学です。全体計画と建築設計はH.K.マーフィーの手になります。マーフィーは日本では純洋風の立教大学の設計(1915年)で知られていますが、彼は1913年に中国を訪れ、北京の紫禁城に感激して、これを模した中国宮殿式建築を中国各地に作りあげたと言われています。

ここでは、廈門大学とその近くにある華僑博物館をご紹介します。併せて、第一部の「集美学村、廈門の中華宮殿式建築1」もご覧ください。なお、写真撮影はいずれも2003年1月です。


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群賢楼 廈門大学配置図(142K)
群賢楼
マーフィーの遺した5棟からなる嘉庚楼群の中で最も有名なのがこの群賢楼です。1989年に廈門の古建築保護単位になっています。
群賢楼正面
この建物は大学の中央大通りに面しており、大学のシンボル的な存在です。マーフィーとその弟子たちは、中国各地に宮殿式建築を建設していますが、この棟の反りはここ廈門でしか見られないようです。宮殿式にも地方性があるようです。
群賢楼正面入口
この柱の向こう側は外廊下になっています。ここをくぐると、
群賢楼エントランス
陳嘉庚をたたえる銘板があります。
群賢楼廊下
ショップハウスによくあるような亭仔脚形式になっています。右手が教室ですが、どこも授業中でしたので、入れませんでした。
群賢楼棟詳細
棟を飾る鳥衾はモダンな幾何学模様

建南大会堂
建南大会堂
基壇の上に建つ堂々たる姿は、まるで太和殿が現代に蘇ったかのようです。ただしこの階段の下は運動場で、この階段も観客席を兼ねているものと思われます。「1954年に完成したが、その後長く放置されていたものを、廈門大学設立80年を期して、2001年に改修が完了した」、と銘板に書かれていました。
建南大会堂妻面
3層の屋根が美しく重なっています。宮殿式建築の定番色は瓦は緑、柱は赤ですが、この建物では赤は小屋の妻壁にしか使われていません。
建南大会堂正面上部
集美中学と比べると、棟の反りはますます強くなっていますが、全体的には現代風になっています。
建南大会堂正面ポーチ
あっさりしていて、素っ気ない感じがします。ひとけもなく、扉も閉まったままです。
建南大会堂正面下部
ここだけ見ると柱はギリシャ式だし、純洋風です。扉は一見重厚ですが、よく見るとアルミ製で、住宅の玄関用扉を大きくしただけみたいに見えます。
建南大会堂内部
窓の隙間から覗きました。中はきわめて簡素です。正面にステージ、壁・柱・梁等は塗装だけ、4200席の堅そうな木の椅子が並んでいます。巨大な梁がいかにもじゃまです。

芙蓉第一、第二
芙蓉第一
これも宮殿風の立派な建物ですが...
芙蓉第一正面
近づくと洗濯物がたくさん干してあります。
芙蓉第一廊下
学生の宿舎でした。これも亭仔脚形式です。
芙蓉第一外壁詳細
建物ひら面表側と妻面(写真右側)の仕上げは新しくなっていますが、ひら面裏側(写真左側)は古いままです。この建物は集美中学にもあったように、煉瓦造ではなく、鉄筋コンクリート造に煉瓦タイルを張ったものなのでしょうか。
芙蓉第二紋章
中央頂部には、歯車と翼、社会主義的シンボルが掲げられています。ちなみに第一と第二は同じかたちをしている建物です。
芙蓉第二紋章裏側
屋上です。この歯車は洗濯ひもを通すのに都合がよいようです。

頌恩楼
頌恩楼
廈門大学は公園のような雰囲気で、親子連れが散歩したりしています。構内にはこうした池(芙蓉池)もあります。池畔に建つのは、2001年3月竣工の頌恩楼です。
頌恩楼詳細
ポストモダン風ですが、棟の反りはしっかりとみん南式になっています。
頌恩楼内部
規模の割には小さなエントランスです。低層階に人文学院、南洋研究院、上層階には大学事務部門、最上階の19階には会議室、接待室などがあります。
頌恩楼獅子
超高層建築であっても、これを守るのはもちろん獅子です。

華僑博物館
華僑博物館
1959年に陳嘉庚によって創設されました。当初は中央の塔だけだったのが、最近になって両翼を増築したそうです。中央塔だけの頃の写真を見ると、建南大会堂を縦に引き延ばしたようなおかしなプロポーションになっています。
華僑博物館棟詳細
3層の屋根の重なり合う凝った作りです。小屋の妻面は、鳳凰、龍、蝙蝠のレリーフで飾られています。
華僑博物館正面
これも屋根さえみなければ、洋風です。入場券裏面の解説を見ると、「宮殿式建築」と書かれています。外国人がかってにそう呼んでいるのではなく、中国でも宮殿式と呼んでいるのですね。
華僑博物館内部
海外華僑社会の歴史と現在の姿を写真、模型、道具などを使って紹介しています。

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最終更新日:2003年2月16日

作成者:じいきえん

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