東宮御所(赤坂離宮、現・迎賓館)

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最終更新日:2001年05月27日
作 成 日:1999年10月29日


DATA

設計者:片山東熊(改修・村野藤吾)
敷地面積:
約117,000平米
竣工:
1909年(1974年改修)
所在地:
港区元赤坂2
最寄り駅:四谷
周辺地図
1年に1度抽選で見学可(要申込)
抽選日は新聞等に掲載
迎賓館公式Webサイト参観方法有り)


作成者:H.Tanaka
文責・写真:H.Tanaka


東京都インデックス

現在では迎賓館として今でも残っている旧・東宮御所です。
JR四谷駅から、徒歩5分の所にあるこの迎賓館は行ってみるとわかりますが、すごいものがあります。
一体何が凄いか?と言うと、JR四谷駅付近の雑然とした街から一瞬にしてこの壮麗な迎賓館が現れ、静かに佇んでいるのです。この写真はJR四谷駅から迎賓館に向かって見える風景で、何というか、言葉で表現できない感動を覚えるのです。私は、大学で近代建築史を専門に勉強しているのですが、この旧・東宮御所を多少なりとも知っているために更に感動が高まるのです。
やはり、この迎賓館は観光のスポットとして有名なようで、タクシーが止まっては、中から観光者の人がさっそうと出てきて迎賓館をのぞき込んではまたタクシーに乗り帰っていく。そんな中私は三脚を用意して、写真を撮っていたのですが、残念ながら、逆行で綺麗な写真が撮れませんでした。この正面は北向きなので、ちょうどお昼頃は逆行になってしまいます。(逆行で取ると空が白くなります。)
さて、お約束である歴史の話の前に、この迎賓館は年に一回内部を公開しています。内部の撮影は犯罪との関係により禁止になっていますが、その公開予定は新聞、インターネットにより公示され、申し込みを行い、抽選で選ばれた人ののみが見学することができるそうです。
右上の写真は150mmの望遠レンズで撮った写真で、下の写真は25mmの広角レンズで撮影しました。28mmですと実際の肉眼で見るよりも遠目で写るわけですが、それにしても、この前庭の美しさ、松の木、芝生が迎賓館を引き立てています。そして、左下の写真はこの迎賓館の門ですが、この門もまた凄い!
機会があったら、近くで外観を見たいと思うわけです。写真の話になりますが、最低150mm以上の望遠レンズが必要です。ディテール部分は殆ど見えません。
さて、この東宮御所は天皇の皇太子が新婚生活の為に建設したのですが、設計した片山東熊は平面計画を何故か面倒なものにしたらしく、便所の数が少なく、皇太子はいやがってしまい、結局殆ど利用されなかったとのこと。

さて、片山東熊とは一体だれ?という方のために簡単に説明しましょう。
明治12年に現在の東大から初めて建築家が誕生するのです。そのころの建築スタイルはヨーロッパの建築を必死に吸収しようと様式建築スタイルを建設します。国のお達しってわけなのですが、お国の建築は昭和始め頃までずっとこのスタイルがつづき、そういった中で片山は日本人初の建築家であると同時に様式建築をマスターした建築家でもあるわけです。第一世代でここまで様式建築を習得するのは非常に凄いことで、周りの建築家はこういっています。「日本人の建築家は今、ヨーロッパには劣らない程の水準にきている。見よ最近の大作である東宮御所を!」等周囲でも大絶賛のこの旧・東宮御所。
外観もさることながら内部がまたすばらしいのです。(写真でしか見ていませんが)とにかく豪華絢爛でこの建築でヨーロッパに追いついた!と考えるのもうなずけます。

この旧・東宮御所は村野藤吾により、改修・修復が行われ、現在でも日本で見られる様式建築の最高峰であるわけです。
しかし、残念なことに、建築の学生(歴史を勉強している学生)すら、この写真を見せても「おーこれが
明治生命館かー!」とたわけたことを言っています。あー非常に情けない。東宮御所でも、迎賓館でも、赤坂離宮でもいいから名前を覚えて歴史的な意義を頭の片隅に入れて欲しいです。観光客よりも知らない、タクシーの運ちゃんよりも知らないなんて情けないでしょーに。

文責・写真:H.Tanaka


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