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National Museum of Modern Art, Kyoto
京都国立近代美術館

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京都国立近代美術館

設計:槇文彦/槇総合計画事務所
所在地:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
用途:美術館
竣工:1986年(昭和61年)
敷地面積:5,000.60m2
建築面積:2,009.59m2
延床面積:9,761.99m2

最寄の地図

館内は1階と4階のみフラッシュ/三脚無しで撮影可。


Camera:
Nikon F60 24mm

作成日:
2000年02月 27日

最終更新日:
ページは追記・修正があったときに随時更新しています。
2008年07月13日

作成者:
Mitsuo.K


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- 先日、東京に遊びに行ったときに、槇文彦氏が設計する建物を2〜3箇所見学する機会がありました。同じ設計者の建物を続けて見ると、なんとなくその時期の傾向と対策が見えてくるんですよ。特に顕著なのはヒルサイドテラスで、彼のポートフォーリオのような町に仕上がっておりまして、代官山駅から離れるほど最近の設計となっています。ヒルサイドウエスト辺りになってくると、すでにヒルサイドテラス初期のものとは随分変わった路線になっていることが読み取れます。

今回紹介する京都国立近代美術館は、ヒルサイドテラスにあるような系統ではなく、どちらかというとテピアやスパイラルに近い雰囲気をもっています。そこで、竣工年を調べていたら「ん〜やっぱりそうか・・」、スパイラルテピア→京都国立近代美術館という順で、1985年〜1989年の間に竣工されていることが判明しました。槇氏の設計はマニュアル化せずに、いつまでも探求して変化し続けるのですね。

では、京都国立近代美術館をご覧ください。

場所は岡崎公園。平安神宮の大鳥居をはさんで向かい側に京都市美術館、裏側にみやこめっせ京都市勧業館、京都会館という大規模建築の密集地です。この建物の仕上げは花崗岩のPC板。開口部をあまり必要としない美術館建築は、いわゆるハコモノ建築になりやすいところを、なんとかコーナのガラス張り階段室が打ち消そうとしています。槇氏にしては珍しくシンメトリーなファサード。この辺でちょっと向かい側にある京都市美術館を意識したのかな。格子状の外装が「京都の道路パターンを意識した」というのはマユツバものでしょう。この時期の彼の設計では、どこでもやってるもんね。

館内エントランスホール。そのまま正面に向かって階段を上がると展示室です。
あ〜出た出た、槇氏お得意のブリッジタイプの渡り廊下です。彼はかならずと言っていいほど建物に「見下ろすポイント」って造ってありますが、今回は従業員用のため一般人は行けません。この手法は1989年竣工のテピアで花咲かせてます。

1階左奥の展示ロビー。椅子は外に向いてます。南向きの開口部ですから、とても明るい陽射しが入ってきます。この窓の外には桜の木が並んでおり、疎水が流れています。
展示室に行くまでの階段は、3階まで上がらなければなりません。敷地からこの美術館までのアプローチは短いので、この階段を上っている間に美術鑑賞モードに入るわけです。そして展示室はやっぱり暗いですから、この距離で目を暗順応させるのでしょう。しかし上に行くという動作は、やはり敷居の高い印象が残ります。

では、作品を見てまいります。

-----1時間後-----

あ〜疲れた。

毎度ながら思うのですが、美術鑑賞というのは実に疲れるもので一気にあれだけの作品を見るのは、かなりの視力消耗です。(本屋でも疲れるけどね)
「4階の常設展示もご覧ください」の案内に誘われ、4階に上がる。

「わぉ〜!」目の前には平安神宮の大鳥居、京都市美術館、そして東山の借景。すごいな〜
至近距離ばかりをみる美術鑑賞の休憩室に、遠景を見させる休憩所。なんという素晴らしい気配りなんでしょう。これこそ、鑑賞にふさわしい作品ではないでしょうか。
カメラの露出設定が外になってしまって、室内が真っ暗な写真になってしまいましたが、シルエット・カップルも悪くはないでしょ?

ちょっとディテールも見ていって下さいな。

階段室は建物の4角に配置されたガラス張りのところ。直接光では眩しいので、光を和らげる何かが必要ですよね。そこにあったのは、う〜ん・・これなんだろう?ガラス繊維っぽいものでした。効果としては障子越しの光と似た感じになってます。
展示室に向かった時の階段のコーナには、槇氏らしいディテールもある。彼はいつも独特のコーナ処理をしますね。入隅(いりすみ)でも出隅(ですみ)でも、どこかをスコーンと抜いちゃうんです。それが重量感や迫り来る壁の圧迫感を取り去ってしまう。

文章では表現しにくい「抜き」のテクニックを見ることが出来ました。あとは実際に行って確認してね。

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